元利均等と元金均等の解説

住宅を購入する場合にローンを組み方が多いが、住宅ローンの返済方法には、大きく分けて「元利金等返済」と「元金均等返済」がある。どちらの返済方法であろうと、毎月の返済額には元金分の返済に加えて利息の支払いがあることには変わりはないが、毎月の元金分の返済金額が異なるので利息分の支払い額も異なり、総返済額は同額にならない。

以下に、この2種類の返済方法を比較しながら、各返済方法の特徴、ライフプランを元にした返済計画の考え方及び1回分返済額の計算式について解説する。

各返済方法の特徴

元利均等返済と元金均等返済を比較しながら示した特徴は、次のとおりである。

元利金等返済

毎月の返済額、つまり金分と息分の合計額が一定(均等)である。下図で示すとおり、返済期間の早い時期程、毎月の返済額に対する元金の割合が小さいため、元金均等返済に比べ、元金残高の減るスピードが遅いので、利息の支払い額が大きくなり、その分総返済額も大きくなる。

なお、この返済方法は、殆どの金融機関で取り扱われている。

元利均等の返済推移グラフ

元金均等返済

毎月の元金分の返済額が一定(均等)である。毎月の返済額は、元金を返済期間(返済回数)で均等割りした額に、各返済時の元金残高に対する利息を加えた額となり、返済する度に一定の額が減額されて行く。下図で示すとおり、返済期間の早い時期程、毎月の返済額は大きいが、元利均等返済に比べ、元金残高の減るスピードが速いので、利息の支払い額が小さくなり、その分総返済額も小さくなる。

なお、この返済方法は、取り扱っていない金融機関も多いが、フラット35や民間の金融機関の中には取り扱かわているところもある。

元金均等の返済推移グラフ

返済計画の考え方

元利均等返済のメリットとして良く言われるのが、「元利金等返済は毎月の返済額は一定なので、将来の返済計画が立て易い」であるが、このメリットを重視して安易に元利金等返済を選ぶべきでなく、各々返済方法の特徴が、各自のライフプランを考えるとメリットになったり、デメリットになったりする。従って、現状及び将来のライフプランを元に返済計画を立て、どちらの返済方法があなたにとってベターかで選ぶべきである。

なお、元金均等返済は、毎月の返済額が一定でないので、返済時期により返済額がどのように推移するか分からないと返済計画を立てれないが、年単位の推移であれば本サイトの便利ツール「返済額(元金均等)」で分かるようになっているので参考にされたし。

また、返済計画を立てる上で、元利均等か元金均等かの選択だけでなく、返済期間をどれだけに設定するかも重要である。返済期間を長くすれば、毎月の返済額は小さくなるが、総返済額は大きくなってしまう。逆に返済期間を短くすれば、毎月の返済額は大きくなるが、総返済額は小さくなる。まずは、無理のない返済を前提にして、返済期間をどれだけ短くできるかの検討から始めれば良いと思う。

いずれにせよ、本サイトの便利ツールで、元利金等と元金均等のシミレーションができるので、あなたの状況に沿った色々なケースを試して判断してもらいたい。

抽象的な言い方では分かり難い面もあるので、幾つかの状況例を挙げると次のとおりである。

  • 元金均等だと総返済額が抑えられるので凄く魅力的だが、返済期間の前半は子供の教育費の負担が大きく、後半は教育費が掛からなくなるのであれば、元金均等だったら返済が無理なケースでも元利均等返済を選択することにより、教育費の掛かる頃の返済額を押さえられ、無理なく返済が可能になることもある。

  • 総返済額を抑えたいために元金均等を検討してみたものの、初回の返済額が大き過ぎて厳しい返済になると感じれば、元利均等にして返済期間を短くすることを検討してみると良い。それにより、毎月の返済額が元金均等の初回返済額より小さく、かつ総返済額も元金均等より小さくすむこともある。

  • 将来の不確定要素が多く信頼性の高いライフプランが立て難い状況であれば、少し返済期間を長めに設定し毎月の返済額を抑えておき、もし将来貯蓄の余裕ができるようであれば、その時点で繰上返済を併用することにより、返済期間を短くし総返済額を小さくする方法もある(金融機関によっては、繰上返済手数料を取るところもあるので、その辺の考慮も必要である)。

    なお、繰上返済について補足しておくと、繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類がある。どちらも、繰上返済した金額は全て元金返済に当てられるが、次の違いがある。前者は毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする方法で、後者は返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす方法である。前者の方が利息軽減効果は大きい。

1回分返済額の計算式

各返済方法に於ける1回分の返済額の計算式は次のとおりである。

なお、計算式上の「利率」とは、返済間隔に対するもので、単位%を外した値を意味する。よって、例えば返済間隔1ヶ月で年利2.4%であれば、計算式に代入する利率の値は、「2.4% / 12ヶ月/100」の「0.002」となる。

元利均等計算式

  • 毎回返済額 = 融資総額 × 利率 × (1 + 利率)返済回数 / {(1 + 利率)返済回数 - 1 }

  • 今回利息分 = 前回返済後の元金残高 × 利率

  • 今回元金分 = 毎回返済額 - 今回利息分

元金均等計算式

  • 1回の元金分 = 融資総額 / 返済回数

  • n回目返済額 = 1回の元金分 ×{1 + (返済回数 - n回目 + 1)× 利率 }

  • n回目利息分 = n回目返済額 - 1回の元金分

計算式の求め方

上記計算式に於いて、元金分と利息分の計算式に関しては説明するまでもないが、元利+利息の1回分返済額の計算式に関しては説明がないと理解し難いため、以下に計算式の求め方を説明する。

元金均等のn回目返済額

このn回目返済額の計算式は、元金均等の特徴を知っていれば、計算式の求め方を解説するまでもなく、式を見て感覚的に理解できる筈であり、補足程度に述べる。

上記計算式でピンとこなければ、次のように展開すると、より分かり易くなる。

1回の元金分 + 1回の元金分×(返済回数-n回目+1)×利率

  • 第1項の「1回の元金分」は、n回目の元金分でもある。
  • 第2項の「1回の元金分×(返済回数-n回目+1)×利率」はn回目の利息分を表している。つまり、n回目返済直前の元金残高「1回の元金分×(返済回数-n回目+1)」に「利率」を掛けて利息分を求めている。

元利均等の毎回返済額

この毎回返済額の計算式は、元利均等の特徴を知っていても、式を見て感覚的に理解できるものでないので、計算式の求め方を解説する。

まず、次の前提条件下で、各返済毎に、返済後の元金残高を求める計算式を、「融資総額」、「毎回返済額」及び「利率」を使って以下に示す。

前提条件

「融資総額」に対し、常に一定額の「毎回返済額」(元金分+「利率」の利息分)を返済続けると、n回目で完済(残高0円)するものとする。

各返済後残高の計算式
1回目残高
(1+利率)×融資総額-毎回返済額
2回目残高
(1+利率)×1回目残高-毎回返済額
=(1+利率)×融資総額-(1+利率)×毎回返済額-毎回返済額
3回目残高
(1+利率)×2回目残高-毎回返済額
=(1+利率)×融資総額-(1+利率)×毎回返済額-(1+利率)×毎回返済額-毎回返済額
  ・
  ・
  ・
n回目残高(残高0円)
(1+利率)×融資総額-(1+利率)n-1×毎回返済額-(1+利率)n-2×毎回返済額・・・-(1+利率)×毎回返済額-(1+利率)×毎回返済額-毎回返済額

ここで、上記「n回目残高」計算式の青色部分の数式を見ると、初項「-毎回返済額」、公比「1+利率」の等比数列の足し算にになっていることが分かる。

この青色部分を「等比数列の和の公式」※1で表すと

=a(r-1)/(r-1)=-毎回返済額×{(1+利率)-1}/利率

となる。

この公式により求まった数式を上記「n回目残高」計算式の青色部分に代入すると、

n回目残高=(1+利率)×融資総額-毎回返済額×{(1+利率)-1}/利率

となり、

前提条件よりn回目で完済すると言うことは、n回目残高である左辺は0となり、かつn回が返済回数を意味するので、

0=(1+利率)返済回数×融資総額-毎回返済額×{(1+利率)返済回数-1}/利率

となり、

この計算式を変形すると

毎回返済額 = 融資総額×利率×(1+利率)返済回数/{(1+利率)返済回数-1}

が導き出される。

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